配達中にスマホが熱で落ちる|原因と、今日からできる防ぎ方
夏の配達で、いちばん多いトラブルがこれです。画面が急に暗くなり、「温度が高すぎます」と出て、ナビが使えなくなる。
配達員にとってスマホが止まるのは、単に不便なのではなく、その時点で仕事が止まるということです。ナビも、注文情報も、置き配の写真も、全部その中にあります。
そして多くの人が誤解しているのが、これは「スマホが古いから」でも「安い機種だから」でもないということ。Appleが公式に案内しているiPhoneの動作温度の上限は35℃です。夏の配達は、その条件を毎日のように超えています。しかも外気温23℃の5月でも起きます。順番に説明します。
1 スマホの上限は35℃ — 配達はそれを毎日超えている
まず、機械としての限界を知っておきます。Appleが案内しているiPhoneの動作温度は0〜35℃、使わないときの保管でも-20〜45℃とされています。
動作上限
の上
ここで気づいてほしいのは、動作上限の35℃と、真夏の外気温がすでに同じだということです。つまり日陰に置いていても、外にいる時点でギリギリ。そこに直射日光が当たれば、あっさり超えます。スマホホルダーの定番の位置——ダッシュボードやフロントガラス付近は、車内でいちばん温度が高い場所です。
2 止まると、仕事のどこが止まるか
高温になったスマホは、いきなり電源が落ちるとは限りません。先に「機能を少しずつ切っていく」ので、そこを知っておくと早めに気づけます。
| 画面が暗くなる | いちばん最初のサイン。明るさを上げても戻らないなら、それは節電ではなく発熱によるもの。屋外で画面が見えない=住所が読めない |
| 充電が止まる/満充電にならない | 高温だとバッテリーを守るために充電を制限すると案内されています。「挿しているのに減っていく」はこれ。走りながら充電する配達では致命的 |
| 動作が重くなる | ナビの地図が固まる、アプリの切り替えに数秒かかる。ピーク中にこれが来ると、そのまま鳴らなくなる |
| カメラが使えなくなる | フラッシュが無効になることがあると案内されています。置き配の写真が撮れない=完了操作ができない |
| 温度警告が出て使用制限 | ここまで来ると冷えるまで何もできません。路肩で待つ時間がそのまま損失になります |
いちばん怖いのは、カメラが使えなくなることだと思っています。ナビは記憶と勘でどうにかなる場面もありますが、置き配の写真は代わりがききません。撮れなければ完了操作が進まず、「届いていない」というクレームの元にもなります。
※どの機能がどの順で制限されるかは機種・OS・状況によって異なります。上記は各社が案内している一般的な挙動です。
3 配達では、熱くなる原因が3つ重なっている
普通の使い方なら滅多に起きません。配達が特殊なのは、発熱する条件が同時に3つ揃っていることです。
直射日光
ホルダーに固定するので、日陰に逃がせません。自転車・バイクは真上から、車はフロントガラス越しに当たり続けます。
ナビを出しっぱなし
画面を最大の明るさで点けたまま、GPSと通信を動かし続ける。スマホの使い方の中でも、かなり重い部類です。
充電しながら
電池が持たないので挿しっぱなしにしますが、充電そのものが発熱源です。特に急速充電は熱を持ちます。
= 熱くならないほうが不思議な状態
そして自転車・バイクと車で、事情が少し違います。自転車やバイクは走っていれば風が当たるので、止まっている時間が長いほど危ない。信号待ち、店での待機、マンション前の停車——このときが山場です。逆に車はエアコンが効いている車内でも、ダッシュボード上だけは日射で別世界の温度になります。
4 防ぎ方 — 置き場所を変える、それから道具
お金をかけずにできることが先です。順番を間違えないでください。
① 直射日光を避ける位置に付け替える。これがいちばん効きます。車ならダッシュボードの上ではなくエアコンの吹き出し口へ。79℃の場所から、冷風が当たる場所へ移すだけで条件がまるで変わります。自転車・バイクは日陰を選べないので、停まっている間だけでもポケットや荷物の陰に入れる。
② 画面の明るさを下げる。自動調整を切る。屋外だと自動調整は最大まで上げにいきます。見える範囲でいちばん暗くが正解です。発熱と電池の両方に効きます。
③ ケースを外す。特に分厚いケースや手帳型は熱がこもります。夏の稼働中だけでも外すと違います。
④ 急速充電をやめる。意外なところですが、急速充電は発熱します。走行中はゆっくり充電にして、休憩中にまとめて充電するほうが安定します。通信量とバッテリーの実測もあわせてどうぞ。
そのうえで道具です。いま出ているのは「ペルチェ素子」を使った冷却タイプで、電気を流すと片面が冷たくなる部品が入っています。どちらも動かすのに給電(USB電源)が必要なので、そこだけ先に確認してください。以下は執筆時点で販売ページに記載されていた内容です。
冷温機能つき 自転車・バイク用スマホホルダー
自転車・バイクはスマホを日陰に逃がせないのがつらいところです。ホルダー側に冷却プレートが入っているタイプなら、固定したまま背面から冷やせます。
配達で見るべきは冷却だけではありません。①振動吸収(段差の衝撃はカメラを壊します)②落下防止(走行中に落とせば一発で終わり)③カメラを塞がない構造(付けたまま置き配の写真が撮れる)——この3つが揃っているかを必ず見てください。
対応幅は68〜95mm。大きめの機種や厚いケースだと入らないことがあるので、買う前に自分のスマホの幅を測ってください。給電方法は商品ページで確認を。
ペルチェ冷却つき 車載ホルダー(吹き出し口取付)
この製品のいいところは、そもそも取り付け位置が正しいことです。ダッシュボードの上(79℃)ではなくエアコンの吹き出し口に付けるので、冷却機能を使う前に冷風が直接当たる。位置と道具の両方で効きます。
販売ページでは「急速充電時に発生するスマホの発熱を抑制する」と説明されています。走りながら充電せざるを得ない配達には、噛み合った機能です。
7,980円と安くはありません。ただ、①の「置き場所を変える」を先にやっても足りない人——夏に何度も止まって配達が中断している人なら、1日ぶんの損失で元が取れる範囲だと思います。給電が必要なので、車のUSB電源に空きがあるか確認してください。
※どちらも仕事の道具なので経費にできます(経費にできるもの一覧)。冷却の効き方は気温・日射・機種によって変わります。道具は「置き場所を変える」の代わりにはなりません。①〜④をやったうえでの上乗せとして考えてください。
! ぶっちゃけ言うと — 車に置きっぱなしが一番危ない
最後に、これだけは書いておきたいことがあります。
- 休憩でコンビニに入るとき、車に置いていかない。スマホもモバイルバッテリーも、持って降りるのが正解です。10分のつもりが30分になることは普通にあります。
- 膨らんだバッテリーは、その日で使うのをやめる。本体がぷっくりしてきたら、それは末期のサインです。PSEマーク(電気用品安全法の基準を満たした印)が付いた製品を選び、異常が出たら買い替えてください。数千円をケチる場所ではありません。
- いちばん効いたのは、結局「置き場所」でした。冷却グッズを買う前に、ダッシュボードから吹き出し口へ移すだけで、止まる回数がかなり減りました。順番は、置き場所 → 設定 → 道具です。
- そして予備のスマホがある人は強い。2台目があれば、1台が冷えるのを待つあいだも走れます。スマホが落ちた瞬間に仕事が止まる——この構造を知っている人は、2台目を保険として持っています。贅沢ではなく、リスク管理です。
- 最後に。無理に走り続けないでください。スマホが止まるくらい暑い日は、人間のほうも同じだけ危ないということです。機械が「もう無理です」と言っているときは、たいてい自分も限界に近い。夏の熱中症対策もあわせて読んでおいてください。
順番は「置き場所 → 設定 → 道具」
ダッシュボードの上は79℃、スマホの動作上限は35℃。まずは位置を変えるだけで条件が変わります。それでも止まるなら、冷却つきのホルダーで底上げしてください。どちらも仕事の道具なので経費にできます。
— 夏のスマホ対策で効いたこと(置き場所・設定・使っている道具)を募集中。フォームから投稿できます(承認制)—