黒ナンバーの車検と維持費|1年あたり、いくら消えるのか
車を買うときは誰でも真剣に比べます。でも「買ったあと、毎年いくら出ていくのか」を先に計算している人は、あまりいません。
軽貨物は年に2万km以上走るのが普通の仕事です。家庭用の軽と同じ感覚でいると、タイヤもオイルも3〜4倍の速さで減っていきます。
先に、意外に思われる2点を書きます。①黒ナンバーにすると税金は安くなります。でも②車検は1年早く来ます。この2つを合わせて、1年あたりいくらになるのかを実額で出します。そして2026年11月から、自賠責保険料が13年ぶりに値上げされます。
1 黒ナンバーにすると、車検が1年早く来る
まず、意外と知られていないところから。車検の間隔は、車の使い方によって違います。
軽乗用車
車検
(事業用貨物)
車検
なぜ短いのか。事業で使う車は、走行距離も積む重さも家庭用とは比べものになりません。傷みが早い前提で、点検の間隔が決められているということです。実際、年2万km以上走る使い方なら、2年でも十分に消耗します。
※手続きの内容や車両の状態によって扱いが変わることがあります。正確な有効期間は必ず車検証の記載と、軽自動車検査協会でご確認ください。黒ナンバーの取り方もあわせてどうぞ。
2 そのかわり、税金は安くなる
車検が早まるかわりに、税金は事業用のほうが安く設定されています。ここは黒ナンバーの数少ない金銭的メリットです。
自家用の軽バン(4ナンバー)
事業用の軽貨物
2年で3,800円ほど安くなります。ごまかさずに言えば、これは黒ナンバーにする理由にはなりません。年に直せば2,000円弱です。黒ナンバーにする本当の理由は「仕事として荷物を運べるようになること」で、税金が安いのはおまけだと考えてください。
⚠️そして注意したいのが、13年を超えたときです。軽自動車税は初回検査から13年を超えると重くなります(重課)。中古の軽バンは安く買えますが、年式が古いほど毎年の税金は上がっていくということです。重量税も同じく年数で上がります。「本体が安い」だけで選ぶと、ここで差が縮まります。
※軽自動車税(種別割)の金額は2015年4月1日以後に初回検査を受けた車の標準税額です。自治体によって異なる場合があります。重量税はエコカー減税や経過年数で変わります。自分の車の正確な額は、車検証と納税通知書、または市区町村の窓口でご確認ください。車の選び方(リース・中古・持ち込み)もどうぞ。
3 車検にいくらかかるか — 内訳を分けて考える
車検費用は「どこで受けても変わらない部分」と「店によって違う部分」の2つでできています。ここを分けて見ると、比較すべき場所がはっきりします。
| ① 自賠責保険料 どこでも同じ | 軽自動車の24か月契約で17,540円(2026年10月末までに保険期間が始まる契約) |
| ② 重量税 どこでも同じ | 事業用の軽貨物で5,200円(2年ぶん・経過年数で上がります) |
| ③ 印紙代 どこでも同じ | 検査手数料。軽自動車は1,100円程度 |
| 法定費用の合計 | およそ24,000円弱。ここは値切れません |
これに「整備費用」が乗ります。点検料と、交換が必要になった部品代です。ここだけが店によって変わる部分で、ディーラー・整備工場・車検専門店・ユーザー車検で差が出ます。だから「車検が安い店」を探すときに比べるべきなのは、法定費用ではなく整備費用のほうです。
17,540円 → 18,660円
ただし「値上げ前に駆け込もう」とは書きません。車検を早く受けると、その分だけ有効期間を捨てることになるからです(満了日の直前に受ければ期間は繰り越されますが、大幅に前倒しすると損をします)。1,120円のために数か月ぶんの有効期間を失うのは、計算が合いません。知っておいて、予算に入れておけば十分です。
※プライベートでも使っている車は家事按分(仕事で使った割合だけを経費にする考え方)が必要です。経費にできるもの・できないもの一覧に按分の考え方をまとめています。
4 本当の維持費は、車検ではなく走った分
ここが本題です。2年に1回の車検より、毎日の走行で消えていくお金のほうがずっと大きいのが軽貨物です。
年間の走行距離を思い出してください。配達の仕事は年24,000km前後になることが珍しくありません。一般的な自家用車の平均が年6,000〜10,000kmと言われることを考えると、3〜4倍のペースで車を使っていることになります。
| タイヤ | 年2万km超なら1年前後で交換になることも。4本で1.5〜2万円台 |
| エンジンオイル | 5,000kmごとなら年4〜5回。1回3,000〜5,000円として年1.5〜2万円 |
| ブレーキパッド | 配達は停止と発進の回数が桁違い。減りが早い部品の代表 |
| バッテリー | エアコンとスマホ充電を常時使う。2〜3年で交換が目安 |
| 車検(2年に1回) | 法定費用 約24,000円+整備費用。1年に直すと意外と小さい |
タイヤについては、金額よりも先に知っておくべきことがあります。
ヨコハマ スーパーバン Y356(145/80R12・4本)
軽バンで定番の145/80R12サイズ。145R12 6PR相当と明記されているので、貨物用として使えます。
4本で17,800円=1本4,450円ほど。年2万km超走る使い方だと1年前後で交換時期が来るので、「年17,800円の消耗品」として最初から予算に入れておくと、急な出費になりません。
⚠️必ず車検証か今のタイヤの側面で、自分の車のサイズを確認してから買ってください。軽バンでも車種・年式でサイズが違います。取り付け工賃は別途かかります。
ダンロップ WINTER MAXX LV01 for VAN(145/80R12・4本)
冬タイヤも「バン用」を選ぶのは夏と同じです。商品名にfor VANと入っているとおり、荷物を積む前提で作られています。
雪の降る地域なら年2セット(夏・冬)を持つ前提で維持費を組む必要があります。合わせて4万円弱。これも「毎年かかるもの」ではなく「数年で使い切るもの」として按分して考えると現実的です。
凍結路での走り方は冬の雪道・凍結路の記事にまとめました。タイヤを替えても止まれない場所はあります。
※価格・仕様は執筆時点で販売ページに記載されていた内容です。タイヤは製造年やサイズで在庫と価格が変わります。タイヤ代も工賃も全額経費にできます(経費一覧)。
! ぶっちゃけ言うと — 車検より、毎月の積立
3年走ってきて思うことを書きます。
- 車検で困る人は、車検の金額で困っているのではありません。「その月に10万円が出ていく」というタイミングで困っています。2年に1回と分かっているものなので、月5,000円ずつでも別口座に逃がしておけば、来た日にただ払うだけになります。1年の支払いカレンダーに、他の税金の時期もまとめてあります。
- いちばん怖いのは、車検ではなく「その日走れないこと」です。整備で車を預ければ、その日の売上はゼロ。代車が出るかどうかを、預ける前に必ず聞いてください。1日休むと1万円以上の損になる仕事で、代車の有無は費用より重い。
- 安い車検を探すより、壊れる前に替えるほうが安くつきました。ぎりぎりまで引っ張ったタイヤやバッテリーは、たいていいちばん都合の悪い日に限界が来ます。雨の日、繁忙期、遠いエリア。止まってから直すと、修理代のほかに1日ぶんの売上も失います。
- そして、税金が安いから黒ナンバーにするわけではありません。2年で3,800円です。黒ナンバーは「仕事として運べるようにする」ための手続きであって、節税の手段ではない。ここを混同している記事をときどき見ますが、金額を見れば理由になっていないのが分かります。
- 最後に、維持費は「距離で決まる」ということ。同じ車でも、月1,000km走る人と2,500km走る人では、消耗品の費用が倍以上違います。自分の走行距離を把握していない人は、維持費も把握できません。まずは1か月、走った距離を記録してみてください。手取りシミュレーションの精度も、そこから上がります。
車検は2年に1回。消耗品は毎月やってくる
法定費用は約24,000円で、どこで受けても同じ。比べるべきは整備費用のほうです。そして本当に効いてくるのは、年24,000km走ることで消えていくタイヤとオイル。先に予算に入れておけば、急な出費になりません。どれも全額経費にできます。
— 実際にかかった車検代・消耗品の交換時期(車種・走行距離つき)を募集中。フォームから投稿できます(承認制)—