個人事業主の住民税はいくら?|所得別の実額と納付スケジュール
個人事業主の住民税は、ざっくり「前年の課税所得の約10%+5千円」。そして毎年6月、まとめて納付書がドンと届きます。給料天引きだった会社員時代と違い、自分で取り分けておかないと払えない税金。実額の目安・納付スケジュール・払い方・下げる方法までまとめます。
1 仕組み — 「前年の所得」に「今年」課税される
重要なのは「1年遅れ」という性質。今年たくさん稼ぐと、その請求は来年の6月に来ます。だから「稼げた年の翌年」と「会社を辞めた翌年」が危ない。退職前のお金の記事でも書きましたが、住民税は脱サラ1年目の資金計画を狂わせる筆頭です。
もうひとつ、意外と知られていないのが「所得に関係なく、全員が同じ額を払う部分がある」ことです。所得割(約10%)とは別に、定額でかかる部分の内訳はこうなっています。
| 市町村民税 均等割 | 年3,000円 |
| 道府県民税 均等割 | 年1,000円 |
| 森林環境税(国税) | 年1,000円 ※2024年度から。住民税と一緒に市町村が集めます |
| 定額分の合計 | 年5,000円(標準的な自治体の場合) |
※2023年度までは復興財源として均等割に各500円が上乗せされており、その分は2023年度で終了しました。入れ替わりに2024年度から森林環境税(年1,000円)が始まったため、払う総額としてはほぼ横ばいです。なお自治体によっては独自の上乗せ(森林づくり県民税など)があり、数百円〜千円ほど高くなることがあります。正確な額はお住まいの市区町村の通知でご確認ください。
2 実額の目安 — 課税所得別にいくら?
課税所得(所得から各種控除を引いた後の額)ベースの目安です。
| 課税所得 | 所得割(約10%) | 均等割 | 年間の住民税 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 約10万円 | 約5千円 | 約10.5万円 |
| 200万円 | 約20万円 | 約5千円 | 約20.5万円 |
| 300万円 | 約30万円 | 約5千円 | 約30.5万円 |
覚え方はシンプルに「課税所得の1割」。所得税(5%〜)より重いゾーンの人が多く、実は個人事業主にとって住民税が最大の税金だったりします。自分の課税所得がいくらかは、確定申告書の控えを見ればわかります。
3 納付スケジュール — 6月に来る、4回で払う
| 6月 | 納付書が届く(一括 or 分割を選ぶ) |
| 分割の場合 | 6月・8月・10月・翌1月の4回払い |
| 備えの目安 | 売上の1割を「住民税口座」に取り分けておく |
おすすめは売上が入るたびに1割を別口座へ逃がす運用。6月にまとめて来ても慌てません。1月1日時点に住んでいた市区町村から課税されるので、年の途中で引っ越しても前の住所の自治体から納付書が来るのは正常です(二重払いではありません)。
4 払い方 — 2023年から、納付書のQRで払える
「納付書が来たらコンビニか銀行へ持っていく」——これはもう唯一の方法ではありません。2023年4月から、地方税の納付書に「eL-QR(地方税統一QRコード)」が印字されるようになりました。全国どの自治体でも同じ仕組みで払えるのがポイントです。
やることは単純で、納付書のQRコードをスマホで読む → 「地方税お支払サイト」が開く → 支払い方法を選ぶだけ。パソコンからでも、納付書に書かれた「eL番号」を入力すれば同じことができます。
選べる払い方と、それぞれのクセをまとめます。
| スマホ決済アプリ | その場で完了。深夜でも払えるのがいちばんの利点 |
| クレジットカード | 納付金額に応じた手数料がかかります。金額が大きいほど手数料も増える |
| ネットバンキング | 口座から直接。手数料の扱いは金融機関による |
| 窓口・コンビニ | eL-QR付き納付書を金融機関の窓口に持ち込む場合は手数料なし |
| 判断の基準 | 「ポイントが付くから得」と決めつけない。手数料と還元を必ず並べて比べる |
そして、払えそうにないときの動き方も先に書いておきます。住民税は前年の所得で決まるので、「今は稼げていないのに額が大きい」という状況が構造的に起きます。そのときは放置せず、納期限が来る前に市区町村の納税課へ電話して分納を相談してください。滞納してから相談するのと、来る前に相談するのとでは扱いがまるで違います。督促・延滞金・差し押さえは、いずれも「連絡が取れないこと」から始まります。
※eL-QRの対応状況・使える決済手段・手数料は、自治体と時期によって異なります。納付書に印字された案内と、お住まいの自治体のページで必ずご確認ください。
5 下げる方法 — 控除を積むしかない
| ① 経費の取りこぼし防止 | 所得そのものを正しく下げる |
| ② 青色申告の65万円控除 | 住民税ベースでも約6.5万円下がる |
| ③ 小規模企業共済・国保年金の控除 | 払った分・掛けた分だけ課税所得が減る |
| ④ ふるさと納税 | 実質2千円で返礼品。住民税の前払い活用 |
住民税に裏ワザはなく、課税所得を控除で圧縮する王道だけ。②は青色申告、③は小規模企業共済、④はふるさと納税の各記事で詳しく。全部やると数万円単位で変わります。
結論を先に言うと、控除を漏らさない一番の近道は会計ソフトです。僕が3年使っている「やよいの青色申告オンライン」は1年目無料で、経費も控除も自動で整理してくれる。住民税の通知を見て青ざめる前に、仕組みを作っておくのが正解でした。
やよいの青色申告オンライン(初年度無料)を見る →! ぶっちゃけ言うと — ここは注意
- 6月の納付書を見てから慌てても遅い。下げる打ち手(控除)は前年のうちに済ませておくもの。年末になる前に仕込む。
- 「前年の所得で決まる請求」は住民税だけではない。国保も同じ仕組みで来ます。独立1年目は住民税と国保が同時に、前年(会社員時代)の所得で計算されて届く。ここを合算して見ておかないと資金計画が崩れます。
- 稼げなかった年も均等割は来る。所得が少なくても年5千円前後はかかります(非課税ラインを下回れば免除)。赤字でも「ゼロ円」にはならないのがここ。
- 滞納すると延滞金+差し押さえコース。払えないときは放置せず、分納の相談を。自治体は相談すれば意外と柔軟。
- 数値は目安。均等割の額や非課税ラインは自治体で多少違う。正確な額は市区町村の通知で。
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