エレベーターなし物件の配達、立ち回りのコツ
配達でじわじわ体力を奪うのがエレベーターなしの3階・4階。1件ずつは大したことなくても、1日積み重なると膝と腰に来ます。報酬は階数で増えないことが多いので、いかに消耗せず・ケガせずさばくかが勝負。実体験のコツをまとめます。
1 事前に見抜く — 着く前に身構える
ポイントは玄関に着く前に「ここは階段だ」と分かっておくこと。号室で階の見当をつけ、商品・スマホ・必要なものを一度で持って上がる。二度往復が一番消耗します。建物の形は航空写真でだいたい読めます(住所が見つからない時の対処法と同じ要領)。
もう少し細かく見ると、「階段だ」と分かった時点で決めることが3つあります。①持って上がるもの、②スマホをどこに持つか、③帰りに何を持って降りるか。とくに③を忘れて手ぶらで降り、車に戻ってから「バッグを上に置いてきた」と気づくと、その1往復がまるまる無駄になります。
| 外階段 | 古いアパートに多い。雨の日は滑る。手すりが濡れている前提で |
| 内階段 | 照明が暗いことがある。夜はヘッドライトが効く |
| メゾネット | 玄関が2階にある構造も。1階の部屋番号でも階段のことがある |
| 見分け方 | 2〜4階建て・築年数が古い・小規模=エレベーターなしの確率が高い |
2 1日で何段登っているのか
「疲れた」を感覚で終わらせず、いちど数字にしてみます。ここを知ると、ペース配分を決める気になります。
建築基準法(建物の安全のルールを決めた法律)の施行令23条では、共同住宅の共用階段について蹴上(けあげ=1段の高さ)23cm以下、踏面(ふみづら=足を乗せる奥行き)15cm以上と決められています。実際のアパートは1段18cm前後が多く、1フロアの高さが2.8〜3mなので、1フロアはおおむね15〜18段になります。
1フロア約17段として計算した目安です。実際の段数は建物によって変わります。
ここに件数を掛けます。1日20件のうち、半分の10件が3階(約34段)だったとします。上って下りるので往復=68段。10件で680段。これはビルなら40階分ほどを毎日上り下りしている計算です。「疲れて当たり前」だと分かると、根性の問題ではなく配分の問題だと納得できます。
3 体力の使い方 — 1日もたせる登り方
| 一度で運ぶ | 忘れ物で往復しない。着く前に持ち物を確定 |
| ペース一定 | 飛ばさず一定リズム。息が上がる前に落とす |
| 手すり活用 | 脚だけでなく腕も使う。負担を分散 |
| 考え方 | 1件で全力を出さない。1日トータルで疲れない配分に |
短距離走でなくマラソンと考えるのがコツ。1件ごとに全力で駆け上がると、夕方には動けなくなります。一定ペースで、手すりも使って全身に負担を散らす。「今日まだ何件もある」を前提に配分するのが、結局いちばん数をこなせます。
具体的な登り方にもコツがあります。階段の端(手すり側)を、足の裏全体を乗せて登る。つま先だけで蹴って登るとふくらはぎだけが先に売り切れます。踏面が15cmしかない急な階段ほど、つま先だけになりがちなので意識してください。
そして最後の1段まで気を抜かないこと。踏み外しは登り切る直前と、降りきる直前に集中します。「あと1段ある」と思って降りるくらいでちょうどいいです。
4 ケガ予防 — 体は資本
意外と下りで膝を痛めます。急いで駆け下りないこと。クッション性のいい靴は、階段の多いエリアほど効きます。フードデリ・軽貨物は体が資本=休めば収入ゼロ。ケガで1週間休むより、日々の予防のほうがずっと安い投資です。
道具で減らせる負担もあります。クッション性のあるインソール(靴の中敷き)は、階段の多いエリアなら数千円で効果が体感できます。膝に不安があるならサポーター。どちらも仕事のために買うものなので経費にできる余地があります(経費の記事参照)。
| 靴 | 底が減った靴は滑る。減ったら替えるのがいちばん安い事故対策 |
| インソール | 衝撃を吸収。階段が多い日ほど差が出る |
| サポーター | 膝に違和感が出たら早めに。痛くなってからでは遅い |
| 稼働後 | ふくらはぎと太ももを伸ばす。翌日の残り方が変わる |
! ぶっちゃけ言うと — ここは割り切る
- 階数で報酬は基本増えない。4階も1階も同じ単価のことが多い。だから「消耗しない」が唯一の対策。気合いで解決しようとしない。
- 苦手なら避ける戦略もアリ。サービスやエリアによっては高層・階段が少ない地域を選ぶことも可能。自分の体に合う土俵を選ぶ。
- 体のケアも“仕事”。無理して痛めると稼働ゼロ。サポーターやインソールも仕事の道具=経費になりうる。
- エレベーターがあっても油断しない。タワマンはエレベーター待ちが3分かかることもある。「階段のほうが速い3階まで」を自分の基準として決めておくと迷わない。
- 夏は階段が最大の敵。外階段は照り返しで気温以上に暑く、水分が一気に飛ぶ。夏場は階段物件の前で1回水を飲む、くらいでちょうどいい。
階段は「気合い」ではなく「配分と道具」で軽くなる
1日680段を根性で登る前提にすると、続きません。一度で運ぶ・一定ペース・下りはゆっくり——この3つだけで夕方の消耗が変わります。そのうえで、靴とインソール、夜の足元を照らす明かりを整えるのが次の一手です。
— あなたの「階段配達の工夫」を募集中。フォームから投稿できます(承認制)—